
理学療法士として臨床に立ちながら、国際スパライセンスを取得し、五つ星ホテルスパのオープニングスタッフとして経験を積む。
現在は訪問リハビリとサロン経営、そして“筋膜ドライヘッドスパ講師”として活動する――。
異なる領域を横断しながら独自の世界観を築いてきた島 美咲さん。
医療とスパ、その先にある“ウェルネス”の本質を伺った。

島 美咲
(理学療法士・国際スパセラピスト)
Adore salon 代表
筋膜ドライヘッドスパ講師
回復期から五つ星ホテルスパ、そして独立へ ― 唯一無二のキャリア
回復期病院で働いていた頃、島さんは同時進行で国際スパライセンス取得のために学校へ通い始めた。
「資格取得後は、スパセラピーとホスピタリティを本格的に学ぶために五つ星ホテルのスパへ転職しました。オープニングスタッフとして多くを経験しました。」
その後は独立し、現在は訪問リハビリを続けながらサロンを運営。
多様なバックグラウンドが一本の軸となり、今のスタイルにつながっている。
スパの世界へ進んだ理由 ― “SOSサイン”を見逃さない感覚づくり
転職の背景には、臨床で感じたある気づきがあった。
「病気や怪我の前には、必ずSOSサインがある。でも多くの人がそれを感じ取れなかったり、見逃してしまっていました。」
疲れを“疲れ”と感じ、ストレスを“ストレス”と感じるためには、
心身の感覚がニュートラルであることが大前提。
この「感覚の再生」が健康の根本だと考えるようになった。
そんな中で出会ったのが、スパの世界観である“ウェルネス”。
「病気がないだけでなく、心身が最善で、自分らしく生きられる状態を目指すという考えに、“これだ!”と直感しました。」
ここから“筋膜ドライヘッドスパ講師”へ自然につながる
頭部は心身のストレスを最も早く反映する部位。
そのため島さんは“ウェルネスに必要な感覚づくり”の起点として、頭部の筋膜アプローチに注目した。
「感覚を整えるという視点は、今わたしが取り組む“筋膜ドライヘッドスパ”にも深くつながっています。
医療で学んだ身体構造、スパで磨いたホスピタリティ、そして筋膜の視点。
これらを統合した“心身をニュートラルへ戻す技術”として、このヘッドスパを伝えていきたいと思ったんです。」
ここで一本の線がつながる。
医療職とスパニストの違い ― “自分を整える姿勢”が技術を決める
医療とスパ、同じ“触れる仕事”でありながら、決定的に違う部分があるという。
「スパニストは自分自身の心身の状態が施術にもおもてなしにもそのまま出ます。
ゲストに向き合う前にまず自分を整えるからこそ、心から寄り添うことができるのだと思います。」
医療では“症状に向き合う”ことが中心になりがち。
一方でスパでは“どう在るか”が本質。
この姿勢が癒しの質を決定づける。
リハビリ職が忘れがちな「おもてなしの視点」とは?
「傾聴」「寄り添い」という言葉は医療にも存在する。
だが患者が“選んで来ている”という視点が抜け落ちてしまう瞬間がある。
そんな問いに対し、島さんの答えは非常にシンプルで深い。
「患者様の一本の指に触れることですら、
“触れさせていただいている”という気持ちを忘れないこと。」
いくら技術が優れていても、思いやりが欠ければ“選ばれない”。
最後に決め手になるのは「人」。
「おもてなしの心は細部に宿る。」
その言葉は、医療者が今一度取り戻すべき視点を映し出している。
経験のすべてが「筋膜ドライヘッドスパ講師」へと集約される
医療
スパ
ウェルネス
ホスピタリティ
筋膜の知識
島さんが歩んできた全ての道は、現在取り組む筋膜ドライヘッドスパ講師という役割に見事に集約している。
頭部の筋膜は心身のストレスをもっとも早く表現する場所。
そこに働きかける技術こそが、彼女が追い求めた「感覚を取り戻すための入口」でもある。
「わたし自身が学んできたものすべてを融合して、
セラピストが“人を整える力”をより深く発揮できる技術を伝えていきたい。」
医療とスパを往復し続けたキャリアは、単なる経歴の寄せ集めではなく、
“ウェルネスの本質を体現する一つの道”としていま形になっている。
島さんが示す“触れる職業の原点”
技術だけでは到達できない領域がある。
心身の感覚を整え、自分を整え、相手の細部に寄り添う――。
島美咲さんの生き方は、
沖縄のセラピストたちに“人に触れる仕事としての原点”を静かに思い出させてくれる。
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